2011年 06月 10日
いっぽ、にほ・・・ |
「いっぽ、にほ・・・」
文 シャーロット・ゾロトウ
絵 ロジャー・デュボワザン
訳 ほしかわ なつこ
(童話館出版)
義母がムスコのために童話館ぶっくくらぶに加入してくれています。
毎月2冊絵本が届くのを親子で楽しみにしています。
これはいかにも童話館出版らしい本でした。
「何が面白いの??」って最初は首をひねっても、
次第に引き込まれていって大好きになるというパターンです。
かなり長いこのお話。ムスコはいきなり3連続で読みました。
お母さんと小さな女の子のお散歩の話。
一足ごとに景色が変わり、新しい発見があるのです。
読むほうは大変。
何しろページごとに「いっぽ、にほ・・・」と12歩まで続いて、
それから「じゅうにほ、じゅういっぽ・・・」と帰ってくるのですから。
疲れた・・・と思いながら「いっぽ、にほ・・・」とやっているうちに、
ふっと頭をよぎったのが、その日の昼間の、そして今までのお散歩でした。
菜の花の種を採ったこと、石を拾ってはポッケに入れたこと、
脱皮中のてんとう虫をずっと見ていたこと(そしてそれを指でつぶしちゃった、キャー)、
蟻の行列について行ったこと、たんぽぽの綿毛をふうーしたこと、
歩道に座り込んで動かなくなったこと、ごみ収集車の後を追いかけたこと、
遠くに見える車の車種を確認しに行ったこと、
なんて取るに足らない些細な、そしてなんて幸せな瞬間だったことか。
いつの間にか「いっぽ、にほ・・・」は涙声になっていました。
気が付いたらムスコの足の裏はすっかり硬い。
しわしわのふにゃふにゃだったのに。
いっぽ、にほと歩いて、少しずつ大きくなって、来週は3歳になります。
おめでとう3歳。
明日で震災から3ヶ月。
家族の大切さを感じるたび、それを失った方達のことに思いを馳せると
途方に暮れるような感覚に襲われます。
震災直後、オットが死んだと見知らぬおばさん達に告げられる夢を見ました。
先週はムスコを探して遺体安置所を巡る夢。
夢でよかったと思うには、あまりに重い夢でした。
新聞に毎日載る亡くなった方の数、
避難されている方の数、未だ行方が分からない方の数。
手の平より小さい欄だけれど、
その数字の裏に何倍もの家族達の悲しみが詰まっている。
こんな悲しみをもう増やしてはならないと思います。
原発で作業にあたる方やその家族、放射能の影響を受けてしまう子供たちとその家族・・・
問題がどんどん先送りされませんように。
弱いものにしわ寄せがいきませんように。
正しい情報が誠実に知らされますように。
by azura1
| 2011-06-10 16:07
| ムスコ